ISO PC236委員会(Project Management)

委員会名 ISO PC236委員会(Project Management)
・議長国:イギリス/ Miles Shepherd (BSI)
・セクレタリー国:アメリカ/ Nan Wolfslayer (ANSI → PMI)
・実質的な委員会参加国は約30カ国
対象規格 ISO 21500
活動内容   この委員会はプロジェクトマネジメントの原則と実践手法に関するハイレベルで汎用的なガイドライン の整備を目的としている。ガイドラインの対象はプロジェクトマネジャーやチームに適切な支援やガイドを 行う、公共機関や産業のシニアマネジメントクラスである。
この国際規格は、各国のプロジェクトマネジメント標準を置き換えるのではなく、これら標準の改定に 際する参照ドキュメントとなることであり、各国の適切なプロジェクトマネジメント標準と連携してプロジ ェクトの契約等に参照されるべきものである。
  ガイドラインは以下の三つの部分と付属資料から構成される。
  ・プロジェクトマネジメントに関する用語集
  ・プロジェクトマネジメントのコンセプト
  ・プロジェクトマネジメントのプロセス
  プロジェクトマネジメント標準はイギリスのBS6079、APMBOK、アメリカのPMBOK、その他オーストラリア 日本のP2Mなどが策定されているが、国際標準として規格化されたものがなかった。これらの標準は範囲 や枠組みはある程度異なるが、含む手法はほぼ同様である。ISO21500は各国標準で差異があるプロセス 用語を整理して、共通化することを行っている。
日本の活動状況   わが国はこの委員会の設立段階では設立に反対したが、イギリス、アメリカ主導で委員会が設立した後は、以下の4点に 焦点をあて、規格の策定作業に積極的に参加している。 
  1.わが国産業が採用・実施しているプロジェクトマネジメントの仕組みとの齟齬が少なくなるように主張する。
  2.既存のPM標準類の持つ引用,参照の難しさ(著作権等の強い縛り)を緩和する。
  3.プロジェクトマネジメントの導入推進,教育活動の活性化・教材開発の推進の基礎を作る。
  4.プロジェクト人材養成の必要性の主張(IPAが策定したITSSの概念のを導入)。
  現在の原案ではCompetencies of Project Personnelに反映されている。

PC236国内対応委員会
・加盟組織:日本工業標準調査会(JISC)
・運営委託:情報処理推進機構(IPA)
JISAの対応状況(リエゾン委員) 国内委員会設立当初から、技術委員会標準化部会の委員が指名され、情報サービス業界の代表として参加している。
情報サービス業界への影響   情報サービス業界でも、様々なプロジェクトのプロジェクトマネジメントに関して、どの企業でも苦労をしており、多くはアメリカのPMBOKベースのプロジェクトマネジメント手法を利用しているのが現状である。特にシステム開発やシステム運用において、アジア諸国などとの国際分業が活発になっていることから、国際間でのプロジェクトマネジメントを行わざるをえない状況になりつつある。 この場合に、国際間のプロジェクトマネジメントに関わるコミュニケーション上の誤解が、この規格を利用して減ることが予想され、この点でのメリットは大きい。また、現在PMBOKなどの民間プロジェクトマネジメント標準は著作権主張が強く、そのまま企業内に導入するのは難しい。各社がかなりの費用をかけて自社向けにカスタマイズし個別標準を策定している状況である。この規格がISOの国際標準になることによって、この制約からかなり解放されることが期待される。
  また、現在はこの規格に関する認証制度の設立は議論されていないが、将来ISO9001などのような、プロジェクトマネジメント手順に関する第三者認証の制度が、国際規格として策定されることもないわけではない。こうした認証制度が確立した場合は、情報サービス業界の企業も、認証を獲得できなければ、情報サービスの海外に対する輸出、国内の政府調達で制約を受けることも予想される。このような観点で、ISO21500規格の今後の策定動向を注視する必要がある。